句読点考

結論から。日本には句読点の付け方に関する正書法は存在しないので好き勝手な句読点を用いて構わない。句読点は読みやすさを目的としたレトリックである。

新明解国語辞典には
>くとう【句読】
>(2)(漢文の)文章の読み方。

とあることからも推測が出来るように、漢文の読み下しが容易になるように打たれた訓点が元。レ点、一二三等々。これは漢字が日本に輸入された時から存在する。

文章の正しい書き方に関する決まり事を正書法という。
平凡社世界大百科事典では正書法の条件に次の三つを上げている。
(1)語の書き方が一定していること。
(2)一般大衆の使うものであること。
(3)権威のある規範が辞書の形になっていること。

この(3)の例として以下の辞書を列挙している。
『イギリスでは,S. ジョンソンの辞書(《英語辞典 The Dictionary of the English Language》1755)が,ドイツでは,ドゥーデンの辞書(《大ドゥーデン Der grosse Duden:Rechtschreibung derdeutschen Sprache und der FremdwÅrter》1934)が,アメリカでは,N. ウェブスターの辞書(《ウェブスター新国際英語辞典 Webster’s NewInternational Dictionary of American Language》第2版,1934)』

日本にはこうした権威のものは存在していない。国家プロジェクトとして進んでいる大日本語辞典の企画がそれに合致するかどうかは調べていない。

日本では現代仮名遣いなど幾つかの部分について、ある限定された世界では法律により規定されている。話題として取り上げた句読点に関しては以下の通知・通達が公用文記述時の正書法の根拠になっている。

昭和27年4月4日内閣閣甲第16号依命通知
昭和56年10月1日、事務次官等会議申合せ (上の通知の簡略)
「公用文における漢字使用等について」より該当箇所抜粋。
>第三 書き方について
>執務能率を増進する目的をもって、書類の書き方について、次のことを実行する。
>5 
>注2  句読点は、横書きでは、「,」および「。」を用いる。

私的文書にはこうした基準は当てはまらないので、句読点に関しては個人の自由である。その書き手の表現能力と伝達能力が試されることになる。当然、段落を示すのに{}、文の終わりに;を付けるC言語書法でも構わない。