四つ葉のクローバー

トランプのスーツの一つがクローバーなのはヘラクレスの持つ棍棒が三つ瘤だから。棍棒の意味のクラブがクローバーに変容した。名前も、シンボルも。
今日届いたspamメール。
『幸運を呼ぶ四葉のクローバー。一度は探した事があるのでは?四葉にはそれぞれに「名声」「富」「満ち足りた愛」「素晴らしい健康」の4つの願いがかけられ四枚揃って真実の愛を示し、幸運をもたらすと言われています。こちらでは、「富」「満ち足りた愛」が手に入ります。』
伝統的あるい多数派の日本語では「よつば」を「四つ葉」と書く。その観点から違和感を感じさせる。「四葉」と記述すると「よつばのくろーばー」という読みを知らない人には「しよう」か「よんよう」か「しは」か読み方を構成するパターンが多くあり悩ませることになるかもしれない。この場合は普通「しよう」。だから僕は「しようのくろーばー」と読んでしまった。
内容に踏み込む。四つ葉のクローバーは幸運の印であり、幸運をもたらすものとされている。それは見つけることが簡単ではない(というわりには根気よく探せば見つかる)、また、形が十字架(マルタ十字)に似ているからという理由による。
四つ葉のそれぞれに意味はない。有るとすればあとから誰かが勝手にとってつけたもの、と言ってしまえばどんなものにも根拠など無くなるが。そもかくそれは四つ葉のクローバー習俗のある世界に共通のものではない。むしろ葉が増えるたびに意味が変容していく方がまだ信者が多いだろう。四葉は幸運、五葉は富、六葉は名声、七葉は九死に一生
spamの四つの項目「名声」「富」「満ち足りた愛」「素晴らしい健康」を見ると『欠落の欲望』の良い例としてあげられるものばかり。どれも『完全な形でこれがすべてですよと言えないモノ』だろう。名声や富は確実に相対的な概念であり、これ以上の状態はないとは言えない。愛も心の持ちよう次第である。健康の定義をしようとするとは病気や怪我をしていないことということにでもなろうか。欠落の皆無をもって健康と為すわけだ。しかし人は何をもって健康と言い張れるだろうか。
世界中のどの人を例にあげたとしても、世界中の誰か一人はそんな人間にだけはなりたくないと思うだろう。どんなに本人が幸せだと思っていても、どこかに一人くらいはそういう境遇になりたくないと思う人がいるだろう。
個人が自分自身の境遇について幸福だと感じるのは自由である。しかし人に対して「幸せであれ」と言うことには嘘と悪意と謀略を見る。むしろ「平安であれ」と言う人を信じる。