ロザリー

初演の時には面白さはほとんど感じられなかった。自分の鬱病体験前で、すでに気分が憂鬱に支配されていたからかもしれないが、どうも記憶にある物と随分違っているように見える。非常に面白い。
作品自体は好きな演目ではない。運命は決まったものでは無いと思うし、実際、舞台の役の人物もそれを自分で選択しているようにみえる。幾つかの宗教的な混乱もあるように思う。アランが主の祈りを唱える場面、アランは牧師なのか? それでも手紙のシーンでは故郷の神父からのを読んでいる。文脈的には彼らはカトリックのようにみえる。
マリーにしてもロザリーにしてもカトリックと言うことなら、最後のセリフは成立しない。カトリックは運命論ではなく人の自由を認めているからだ。とまあ、宗教的な観点、哲学的観点からは多少納得いかない所がある。これが好きではない理由だ。
序曲はあまりにも安っぽく聞こえてしまう。これだけはなんとかして欲しいところだ。また、曲に引用されている幾つかの有名ミュージカルの楽曲の旋律。これも安っぽさを感じさせるところでもある。マスカレードを結婚式のシーンに入れたり、サンライズサンセットを仮面舞踏会のシーンに入れたりと暗号・暗示めいた使い方も気になる所。
所長に乱暴されるシーンの主題歌はあまりにつらい。ここも文句の一つも言いたくなる場面だが、そういう意味では成功しているのかもしれない。
昔のアンケートだと「気になった出演者を3人あげてください」という項目が有ったと思う(別の劇団と混同しているかもしれない)。それにならって答えるなら、月組は「片桐、藤澤、中里」星組は「神郡、田宮、冴月」。両班を通してなら「入吉」。1公演で一人という縛りなら、月組二回星組三回なので、色物貴族役を外すことになると思う。(以上敬称略) みんな予想を超えた演技だったけれど、衝撃を与えたのはこの人達だった。
DVDはいらないがライブ録音で良いからCDを作るべきだと思う。


ちなみにキャスト発表前の脳内キャスティングはこうだった。(ここも敬称略)
ロザリー:田宮、フランソワーズ:三辻・西、王子:松下、マリー:青島、ジャンヌ:神郡・会川、マルグリート:武者・山本。
実際のロザリー、マリー、ジャンヌの組合せに驚いた。
外部出演者にもワクワクした。元スイセイミュージカルのヒロイン安田さんに、Steps の清水さん、元音楽座の松岡さん。もったいない使い方、というよりもむしろ、出演者全員をこき使ってましたねぇ。