Into the Woods

Seiren Musical Project 19th『Into the Woods』。東京芸術劇場小ホール2。
キャスト・スタッフ表は web に無かったので割愛。
第一幕一時間半、幕間十五分、第二幕一時間十五分。マイク使用、カラオケ。
ちなみにチケット代は事前予約で二千円。安いっ!
オオカミは二匹で子ブタたちが出ていたことから見て、ブロードウェイリバイバルキャストに近いのか?
端的に言ってキャストの出来不出来は激しい。たまたま幾人かとの観劇仲間が劇場で顔を合わせたので意見を聞いてみると、シンデレラ、赤ずきんはとても良いと一致した。わたし的にはパン屋夫婦、ジャックも良いと思う。シンデレラの王子もなかなかだけどウケ狙いすぎで真面目にハンサムな王子を希望したい。この話は純粋におとぎ話を舞台にしたものだからだ。
日本語訳の失敗が幾つか。この作品、笑わせる箇所が多いのだけれど、それを外していたと思う。一例を挙げると、ラスト近くでシンデレラが小鳥たちと会話しての直後に赤ずきんが言うセリフ「鳥と話が出来るのね」。ここは本当は『(シンデレラは)小鳥と話などできないのにも関わらず、会話が成り立っているように見せかけているんだよね』と赤ずきん特有の皮肉を言っているのだ。「あんた鳥と話しているつもりなの?」
こういうギャグの翻訳にかなり失敗している。台本だけを見て直訳していた可能性を感じる。また重要な言葉「I wish」を「夢」と訳していた。これはそのまま「I wish」で良かったと思う。「夢」という意味を与えてはいけないのではないか?
演出の失敗点は二つある。
1)王子役はオオカミ役と同一であるべき。この役を別のキャストにしてしまうと作品の意味が失われてしまう。王子とオオカミは質的に同じものなのだ。第一幕と第二幕の歪な対称性が判らなくなるではないか。
2)ナレーターと謎の男は同一であるべき。ここも非常に重要な点なのだ。「Once upon a time(むかしむかしあるところに)」と語る人物は父親なのだということが判らなくなる。
セットはちょっとごたごたしている感じは否めないが、大がかりで面白く作っていると思う。
オリジナルキャストと宮本亜門版を見ちゃっているのでかなり辛口な書き方をしてしまったが、もうちょっとチケット代が高くても良いと思うくらい素敵に作っていた。次回の作品も期待。