えびす考

 「えびす」には幾つかの表記がある。恵比須・恵比寿・夷・戎・胡・蛭子・蝦夷

 「胡」
 五胡十六国の胡。中国にとっての北方民族あるいは西方民族。当然、野蛮人の意味合いがある。
 えびすには外国の者という意味があるため、この訓がある。

 「夷」
 中国にとっての東方民族。

 「戎」
 中国にとっての西方民族。

 狄(北)や蛮(南)には、えびすの読みはない。(あっても一般的には使われていない)

 「蝦夷
 えみし、えぞ、とも読む。日本にとっての北方民族。当然、野蛮人の意味合いがある。現代的にはどうだか判らないけれども。

 「恵比須」「恵比寿」
 七福神のえびす。この語は野蛮人という意味で用いられることはない。
 「舊假名遣ひ」いわゆる歴史的仮名遣いだと「ゑびす」。

 「蛭子」
 ひるこ。日本の神話に出て来る神。七福神と混同されるようになった。

 どの漢字を当てるかは伝統・文化その他もろもろの条件で異なる。